
胃の粘膜に生息する螺旋形をした菌で、正式名:ヘリコバクターピロリ菌です。ヘリコは螺旋(らせん)、バクタは細菌(バクテリア)、ピロリは胃の出口(ピロルス)の意味から由来しています。
ピロリ菌は胃・十二指腸潰瘍の原因菌であり、胃の中に長く住み続けると、炎症を起こし慢性胃炎(萎縮性胃炎)、腸上皮化生、さらに胃癌を引き起こすとされています。最近ではピロリ菌の関与しない胃癌はないとまで言われています。またその他の疾患、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、などの疾患とと密接な関係があるとされています。
検査でピロリ菌が陽性となった場合は除菌をお勧めします。除菌は2種類の抗菌剤と胃酸を抑える薬を組み合わせた薬を1週間飲みます。1回目で除菌出来なかった場合、薬の組み合わせを変えてもう一度除菌をすることができます。
除菌薬の服用によりたまに副作用が出ることがあります。当院で経験した主なものは、下痢と湿疹です。下痢については止痢剤の併用をすることもありますが、ひどい下痢の場合は除菌を中止いたします。湿疹については心配な湿疹もありますので、服薬を中止し受診をお願いしています。
なお、ピロリ菌検査は、血液・便でも検査できますが、保険が適応されない場合もあります。なお、除菌が積極的に行われた効果か、近年胃癌の発見がかなり減少しているように思われます。