≪ご挨拶≫

平成元年６月に消化器科(胃腸科）・肛門科・外科を主体としたｸﾘﾆｯｸを開業いたしました。地域に密着し、地域の方々の健康づくりを幅広くお手伝いするｸﾘﾆｯｸにしたいと診療してまいりました。
私どものモットーは”苦痛の少ない検査で、早期発見・早期治療を”と考えております。
電子内視鏡、ﾏﾙﾁｽﾗｲｽCTなど最新の機器を使い、より幅広い臓器を対象に、より正確に診断・治療を行ってきたと思っております。平成22年に病床を縮小・休止するまでは胃腸の疾患をはじめ各種手術を全身麻酔下で行っておりました。
マルチｽﾗｲｽCT導入後は、私どもの専門外である腎臓・膀胱・前立腺癌、子宮・卵巣癌などの悪性腫瘍や手術適応となる脳動脈瘤や大動脈瘤が発見され、専門病院に紹介し治療することができた症例が少なくありません。

≪総合一般と専門外来≫

外来の診察では、私どもの専門である消化器・肛門科・外科を中心としておりますが、来院される患者さんが、実は他科の疾患と思われることがは少なくありません。このような患者さんに少しでも広く対応したいと考えております。そこで私どもの外来を”総合一般”として診察することにいたしました。
これに対し、疾患に対しより専門的に対応するため、”専門外来”として整形外科・皮膚科・乳腺外来など専門医による外来を開設してまいりました。さらに、少ない時間帯ではありますが呼吸器科と循環器科の専門医の外来を開始しています。

≪クリニック沿革≫

振り返りますと、平成元年に開業し、当初から１９床の入院ベッドを有し、手術は痔疾患をはじめ胆石症・鼠径ﾍﾙﾆｱ・下肢静脈瘤など良性疾患や胃癌・大腸癌・乳癌など悪性腫瘍の手術も積極的に行っておりました。病床は手術前後の管理だけでなく、高齢者や癌末期の方の看取り、そのほかの入院を必要する方々に広く利用していただきました。しかしながら、医療制度の変化やｽﾀｯﾌ確保が困難になるなど病床を維持することが難しくなり、平成21年に5床のみと縮小し、その病床も休止しております。

≪私の経歴≫

慶應義塾大学医学部を卒業後、一般消化器外科学教室に入局しました。１年間の大学病院での研修、２年間の関連病院（厚生連伊勢原協同病院、横浜 警友会けいゆう総合病院）での勤務ののち、大学に帰局しました。帰局後は大腸ｸﾞﾙｰﾌﾟに所属し、臨床と研究に励みました。臨床では一般消化器外科の患者さんを広く受け持ち、診療に当たりました。
一方、研究面では直腸癌の拡大手術における術後排尿障害をテーマにしました。当時の直腸癌の手術は根治性を高めるために、リンパ節の郭清を広範囲に行う傾向がありました。その結果、手術後に長期にわたり自尿がなく、自分でｶﾃｰﾃﾙを尿道に入れ排尿する方が多くみられました。そこで、手術でのリンパ節郭清の範囲と排尿障害発生の程度を検討し、排尿機能を損なうことなく手術の根治性を保つことに関しての研究をいたしました。
卒業後６年間の慶應大学での研修期間を終え、横浜市の警友総合病院（現 けいゆう総合病院）に就職しました。同病院では、一層幅広い患者さんを担当させていただき、多くの患者さんの診察・手術等をさせていただきました。それと同時に同病院に勤務して、社会人として多くの人生経験を積ませていただいたと思っております。
そして、卒業後10年経過した頃から、自立を目指すではありませんが、父親が外科の開業医であったこともあり、いずれは開業をしようと思うようになりました。そして、平成元年、当地に開業いたしました。

≪学会・資格・学位論文など≫

日本大腸肛門病学会では評議員・専門医・指導医を務めさせていただきました。日本外科学会・日本消化器病学会の専門医の資格を取得しました。しかしながら、開業の通常業務が忙しく、学会出席が十分にできず、一部役職・資格を辞退せざるを得ませんでした。
私の学位論文の題名は”直腸癌術後排尿障害に対する尿流動体力学（Urodynamic Study）による研究”であります。

≪肛門科について≫

開業する数年ほど前から、私は大腸・直腸の疾患と並び、痔疾患の手術に大変に興味を持つことになりました。それといいますのは、逗子市で開業しておられた先輩の肛門科医院にお手伝いに行き、手術をたくさん経験させていただきました。学会で得た知識を実践することができました。別の先輩医師がおっしゃられていた”痔の手術は一生に一度にしよう”との考えのもと、再発がなく、繰り返し手術をすることがないよう工夫して手術をしてまいりました。かなりの数の手術を”楽しく”行うことができ、自分なりに納得のいく出来だったと自負しております。病床を縮小・休止するにあたり痔の治療が満足にできないのが大変残念であります。

≪介護保険について≫

平成14年の介護保険開始に当たり、私もｹｱﾏﾈｰｼﾞｬｰ（介護支援専門員）の資格を取得しました。そして、ﾃﾞｲｻｰﾋﾞｽ・居宅介護支援事業所・短期入所生活介護ほかの業務を開始いたしました。ｸﾘﾆｯｸで診察していた患者さんを介護の面から支援し、通所・入所の両面でサポートしていければ、という思いでおりました。しかし、介護保険での運営もｽﾀｯﾌ確保等が厳しく、縮小することとなり、現在ではｸﾘﾆｯｸ3階でのﾃﾞｲｻｰﾋﾞｽを行っています。

≪これからについて≫

開業してから、当然ながら、自分の分野を深めるとともに、他科の疾患を広く学ぶ日々であります。自分の浅学さ・経験の浅さから、患者さんから教えを受けることも多々ありました。今後はさらに努力をし、患者さんの気持ちに立って、健康維持の手助けになるよう頑張る所存であります。